私立大学の推薦と特進クラス(大人の話)

学校や塾では教えてくれない
「進路選びと環境の本当の話」

推薦基準をクリアして進路が早く決まりそうなこと、それはこれまで中学校で提出物を出したり、テストに向けて頑張ってきた君の確かな成果です。まずはそこを誇りに思ってください。おめでとう。
ただし、高校や大学を選ぶときには、パンフレットの甘い言葉だけでなく、「周りの環境が自分にどんな影響を与えるか」という、とても大切な仕組みを知っておいてください。

TRUTH 1私立高校は「教育の場」である前に「企業」である

私立高校は、私たちが普段使っているコンビニやスマホの会社と同じ「ビジネス(企業)」です。深刻な少子化が進む今、生徒が集まらない学校は赤字になり、最終的には倒産してしまいます。だから彼らは生き残るために必死の顧客獲得戦略を立てています。

2月の一般入試では、公立高校に合格した生徒はみんなそっちに流れてしまいます。学校側からすれば「3月まで何人入るか分からない」という大ブレのリスクを抱えることになります。しかし、1月の段階で「絶対にうちに入学します」という約束(単願推薦)をしてくれる生徒を確保できれば、その瞬間に3年間の授業料や入学金という、数百万円規模の「売上」を早期に100%確定させることができます。君は大歓迎されていると同時に、経営を支える確実な顧客として青田買いされているのです。

TRUTH 2全員がタダではない。「世帯年収 約910万円」の壁

「高校無償化」という言葉だけを聞くと、誰もが全員タダになるように思えますが、実はしっかりとした国・自治体のルール(年収制限)が存在します。基本的には、保護者の世帯年収がおよそ910万円を超えている家庭は、無償化の「対象外(全額自腹)」になります。

東京都や大阪府などの大都市圏では年収制限を無くす動きもありますが、私たちが住む千葉県においては、現時点でもこの年収制限がしっかりと残っています。もし年収制限を超えている家庭が「私立高校の推薦」に釣られて進学した場合、国からの補助金が1円も出ないため、年間約40万〜45万円の私立授業料(3年間で約120万〜135万円)を満額、すべて丸々自腹で支払うことになります。無償化をあてにして安易にラクな私立を選ぶと、家計に大きな負担がかかるのが現実です。

TRUTH 3「無償化でタダ」という甘い言葉のカラクリ

たとえ世帯年収の条件をクリアして無償化の対象になったとしても、すべてが0円になるわけではありません。国や県が持ってくれるのは、あくまで「授業料」という名目のお金だけです。

学校側は、無償化の言葉で集客した生徒から、国が助けてくれない「入学金(私立なら約20万〜25万円)」や、学校の綺麗な設備を維持するための「施設維持費」、何万円もする「指定の制服・カバン代」、そして導入が進められる「強制購入のタブレット・端末代(約5万〜10万円)」といった周辺費用から、確実に利益を回収するビジネスモデルを構築しています。公立でも入学時にはまとまった現金が必要になりますが、私立の場合は入学直後に一括で40万〜50万円以上の現金が口座から飛んでいくことになります。

TRUTH 4ラクな合格にそそのかされた者が支払う「学力のツケ」

このビジネスの最も残酷な部分は、高校側が利益を得る代わりに、子どもの「学力の伸び(ポテンシャル)」が犠牲になる点です。「内申点さえあれば1月に確実に受かる」と知った中学生は、そこから受験勉強のラストスパートを一切しなくなり、脳を一番追い込める貴重な3ヶ月間をただの消化試合にしてしまいます。

しかし4月に入学した瞬間、2月下旬の公立本番まで死に物狂いで英語の長文や数学の難問を解き続けてきた「公立受験組」と、同じ教室で同じ教科書を使って競うことになります。3ヶ月間、足元の基礎を掃除することをサボり、学力の体力を失った推薦組が、最初のテストで大挫折してクラスの底辺(深海魚)に沈んでいくケースが絶えないのは、この早期囲い込みビジネスがもたらす必然的な結果です。

TRUTH 5名前だけの「特進クラス」に潜む環境の罠

全体の偏差値が低めの私立高校が、受験生を集めるために「特進クラス」や「選抜コース」を作ることがよくあります。パンフレットには「難関大合格カリキュラム」などの魅力的な言葉が並びますが、ここには少し注意が必要です。

どれだけ自分のクラスの授業が厳しくても、一歩教室の外に出れば、学校の大部分は「ラクな推薦で早く合格を決めた人たち(マジョリティ)」です。放課後の部活動、体育祭や文化祭などの行事では、そういった周囲の「勉強は赤点じゃなければOK、適当でいいや」という低い基準の空気に毎日触れ続けることになります。人間は環境にとても流されやすい生き物です。周りとの温度差に少しずつエネルギーを奪われ、どんなに意志が強い人でも、気がつけば低い方の基準に引きずられてしまいがちになります。

TRUTH 6「全体の平均偏差値が高い学校」に行く最大のメリット

高校や大学を選ぶとき、一部の看板クラスや学部だけを見るのではなく、「学校全体の平均的なレベル(偏差値)が高い場所」を目指した方が良い最大の理由は、自分が一番『ラクに、楽しく』成長できるからです。

全体のレベルが高い学校では、クラスメイトも部活の仲間も、全員が「次のテストに向けて勉強する」「行事も部活も全力でやりながら、将来のために努力する」という高い基準を「当たり前のこと」として持っています。自分一人だけで必死に頑張る必要はなく、ただその環境に身を置いているだけで、周りの当たり前に引っ張られて自分の実力(打率)が自然と上がっていきます。また、そうやって全員がガチンコで上を目指す環境で過ごした方が、お互いを高め合える本当の親友が見つかりやすく、結果的に一番楽しい充実した学生生活を送ることができるのです。

誰かに決められたラクな道ではなく、自分の意志で戦い取れ

大人のビジネスの都合や、目先の「ラクさ」という甘い言葉にそそのかされて、自分の可能性を狭めてはいけません。
私立の推薦(併願)は、あくまで最悪の事態を防ぐための「クールな保険」としてサクッと確保しておけば十分です。しかし、そこに満足して努力を止めてはいけません。
本当の勝負は2月の本番。英語の単語ド忘れや数学の計算ミスといった「足元の大きなゴミ(基礎の穴)」を今のうちに徹底的に掃除しきり、自分の本当の実力で、全員が上を向いて戦っている「本当に価値のある本物の環境」を掴み取りにいきましょう。

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